着物の豆知識.14
| 極鮫の極意 |
極鮫(ごくざめ)とは、鮫小紋の中でも最もきめの細かい型紙によって刷り上げられた江戸小紋の事を言います。まず極鮫を語る前に江戸小紋についての説明を最初にさせて頂きたいと思います。そもそも江戸小紋とは、江戸時代より伊勢型に代表される型紙(34センチ四方)によって、一回刷ってはずらしまた刷ってはずらすという具合に一反(約12メートル50センチ)を染め上げた物を言います。これは、熟練の職人の手によって型紙を彫る事から始まり小さな型紙によって一反分を寸分狂いなく刷り上げていくすばらしい技術と手間の成せる業なのです。最近では、着物産業も近代化が進み機械によって一反分を一気に刷り上げてしまう事も可能になりました。先程、私は寸分狂いなくと申しましたが、それは確かに精密度の観点で言えば機械の方が間違いなく上です。しかし、これから私が申し上げる事こそが極鮫の極意であると皆さんにも理解して頂けると思います。機械で刷り上げられた鮫小紋と熟練の型職人の手によって作られた極鮫{極鮫の型職人は殆どが重要無形文化財クラス}を反物の状態で見比べた場合、一見それほど違いが判らないかもしれません。しかし、仕立て上がった時、その違いは一目瞭然に現れます。機械で作った鮫小紋は、あまりの精密度ゆえに遠目から見ると無地の着物に見えてしまいます。これに対して、極鮫はどんなに遠目から見てもそれが鮫小紋であるとはっきり判ります。これは何故かと言いますと、いかに匠の腕を持ってしてもそれは人の手によるものです。染める時の力加減や型をずらした時の継ぎ目の部分がほんのわずかに染めむらとして出ます。しかし、これこそが江戸小紋の風合いであり味であり手仕事の暖かみではないでしょうか?
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着物の豆知識.13
| 手描友禅とは? |
ここでは、私が手描友禅染の作る工程と、手描友禅では無い物との違いについてご説明させて頂きます。
まず、手描友禅の出来上がるまでの工程ですが、デザイン(下絵)を基に防染糊(他の部分の染料が混ざらないように置く糊)を絵の線になる部分に置きます。
そこから絵を描いていき、絵が描きあがったら水で洗い糊を落とします。すると、糊が置いてあった部分だけが取れ、下地の部分つまり元の地色の部分だけが残り、あたかも白い線が描いてあるように見えます。
これを糸目と言い、これらの工程で出来上がった物を手描友禅あるいは本友禅と呼びます。これに対して、本友禅では無い無線友禅は地を先に染め上げた後に上から柄を描いていきますので、本来の糸目では無く後から白い線を書き足した物なのです。当然の事ながら、手間のかかり方は一目瞭然です。しかし、技術の進歩によって最近の無線友禅のできは良く、素人目には本友禅との違いは判らないでしょう。
みなさんが友禅の着物を求めてお店に行かれる場合、判断基準として、値段の違いが即ち本友禅かそうで無いかの違いとしてしか判断できないかもしれませんね。中には、無線友禅を手描友禅と偽って売る悪徳な店もあります。やはり信頼のおけるお店でお求めになる事が一番ですね。
現在、本友禅で最も有名なのが金沢で作られている加賀友禅でしょう。これらは、すべてが手描きで通称「本加賀」と呼ばれています。
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着物の豆知識.12
| 最近の着物業界の噂「紬は、これから流行る?」(2) |
紬は以前にもお話しさせてもらった通り、いわゆる普段着の着物です。
冠婚葬祭などに着る留袖、訪問着あるいは、振袖などとは違い何か目的があって着るものでは無く、おしゃれ着です。紬の中には、派手なデザインを施した訪問着の紬もございますが、やはり紬の大部分はどちらかと言えば地味目のデザインが多いです。
予断になりますが、最近の成人式の傾向も地色や柄が地味目の振袖を着ている人を多く見かけます。これは、最近の若い世代の人達の感覚が洋服感覚になってきている証拠だと思います。話しを戻しますが、そういう意味で申しますと、紬は着物ではありますが、それほど洋服との違和感が無く着られるのではないでしょうか。
趣味の着物を始めたいという人は、まず紬から始めるとスムーズに入り易いでしょう。さらに、紬の良さは、気安さにもあります。やはり、普段着として着る訳ですから、自分で着られなければ意味がありませんよね。もちろん、最初はちゃんとした先生に就いて着付けを習わなければなりませんが、他の着物に比べて紬は着易いので、初心者の人にも自分で簡単に着られます。
そして、慣れてきたら柔らか物(生地が縮緬、羽二重、綸子など)に挑戦するのがステップアップとして良いのではないでしょうか。
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着物の豆知識.11
| 最近の着物業界の噂「紬は、これから流行る?」 |
基本的に、着物にはあまり流行というのは無いと言われてきました。
これは、正解でもあり間違いでもあります。と言いますのは、以前申し上げました通り、着物のベースになる柄は古典柄でありTPOも決まっておりますので、代々受け継がれてきた物を守る事こそが何より最優先されるべきと考えられてきたからです。
しかし、近年洋服が主流になった時代に着物を着ている人を見かけると新鮮だったり、着物を着ているというだけで個性的に感じたりしませんか?私事ではございますが、アメリカにてアメリカ人の友人の結婚式に着物で出席したのですが、珍しさも手伝い大変喜ばれた記憶がございます。
元来、日本人はあまり人と違ったり目だったりする事を嫌う人が多かったように思います。着物に流行は無いと言いましたが、20年前頃には、子供の卒業式などに着物を着る人はかなり多くいました。しかし、段々と着る人が減り、さらにみんなが着ないなら自分だけ着物を着て行って目立つのは嫌だという具合に、いっきに減っていきました。今では、卒業式などに着物を着ている人を見ることは殆どありません。しかし、最近また着物が見直されてきつつあります。
日本人も個性を求める人が多くなり、むしろ、人との違いを出す為に着物を着るという人もいます。それは、確かに大勢では無いかもしれませんが、他の人が着物を着ていようが着ていまいが関係なく、自分が着たいと思うから着るという考えの人は少なくないのでは無いでしょうか。そこで、そういう人達の中で注目されているのが紬なのです。
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着物の豆知識.10
| 季節によって着る着物の振り分け |
着物を着る時期によって分類すると、大まかに3つに分けられるでしょう。
(4月後半・5月・6月・9月・10月上旬)、(7月・8月)そして(10月後半〜4月上旬)です。
7月、8月に着る着物以外は基本的に同じ着物なのですが、仕立て方が違います。秋の終わりから春先にかけては、寒い季節なので裏を付けて仕立てます。これを着物用語で袷(あわせ)と言います。
これに対して、夏に近づく、やや暖かくなる季節や夏の名残がある秋場には裏を付けずに仕立てます。これを単衣(ひとえ)と言います。それぞれの仕立て方を袷仕立て、単衣仕立てと言い、裏を付けたり外したりする事によって3シーズン着る事ができます。ただ、着物の柄によってはその時々の季節を表現した柄がありますので、季節限定になってしまう物もあるでしょう。
ここで、アドバイスなのですが、着物をご購入される際、3シーズン通して着たい方は着物の柄をチェックする事をお勧めします。たとえば、着物の柄に桜の花などがあしらってあれば、秋冬に着るのはおかしいですよね。
ただ、最近では季節を限定しないようにあえて春秋それぞれの花であったり草木であったり、あるいはそれぞれ両方の季節を現す柄を散りばめた着物が多く出ていますので、見つけるのはそう難しくはないでしょう。夏の着物に関しては、他の物とはかなり異なります。夏の代表的な着物としては、絽(ろ)と紗(しゃ)があげられます。これらは、共に他の時期の着物に比べて通気性が良く、柄も夏を現すものに限られます。ただ、予断になりますが、夏場に着物を着るのはやはり洋服に比べかなり暑く、見た目の涼しさとはかけ離れたものがあります。
しかし、そこをさり気なく粋に着こなす事こそが着物の醍醐味ではないでしょうか。
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着物の豆知識.9
| 着物のお手入れ方法について |
着物を着る上で、皆さんがまずお悩みになるのが着る事の難しさと面倒くささだと思います。それに加えて、一度着た着物はどうしたら良いかという事だと思います。ここでは、私からお手入れ方法についてのアドバイスをさせて頂きたいと思います。これは、個人差や着る場合(時期)によると思うのですが、冬場や涼しい時期であまり汗などかかず汚れる事もなかったという事でしたら、お家に戻られてから、ハンガーなどに一晩吊るしてからちゃんと畳んでしまえば大丈夫だと思います。しかし、汗を大量にかかれたりシミなどをつけてしまった場合は必ず着終わったら専門のお店に洗いに出した方が良いでしょう。シミなどの場合、時間が経てば経つほど落ちにくくなります。そして、一番厄介なのが実は汗の汚れなのです。これは、目に見えて汚れているという訳ではないのでついついほっときがちです。しかし、これをほっといたまま長い間しまって置きますとカビが出てきてしまいます。一度出たカビは落ちません。カビは生きていますので、最悪の場合一緒にしまっていた他の衣類にまで移ってしまう可能性もあります。ただ、一回一回着るたびに洗いにだすのでは、費用がかかりすぎます。虫干ししつつワンシーズン通して着たら洗いにだしてしまえば大丈夫でしょう。
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着物の豆知識.8
| 着物の主な分類と用途 |
女性用の着物は、大まかに分けて、黒留袖、色留袖、訪問着、振袖、付下げ、小紋、そして紬に分けられます。細かく分ければ、もっといろいろあるのですが、先程挙げた7つが着物の大カテゴリーと言って良いでしょう。それぞれの分類についてですが、解りやすく言えば、格の違い、つまり着て行く場所の違いだと思います。格の順位は、黒留袖、色留袖、訪問着、付下げ、小紋という順です。振袖に関しては、未婚の若い女性が着る着物で、格で言えば黒留袖、色留袖と同等クラスと言って良いでしょう。また、紬に関してですが、格だけで言えば小紋と同等クラスです。つまり簡単に言えば、普段着です。しかし、紬の中には、高級なものが多く、格が低いから安いという事にはなりません。
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着物の豆知識.7
| 伝統的な柄について |
・着物の柄(デザイン)には、古典柄と呼ばれる文様、もしくは、模様(文様と模様はほぼ同じ意味)がベースになっており、それらをそのまま用いたり、または、組み合わせたりする事によって、改まった席に着る着物を現したり、江戸時代の庶民の日常的な衣服文化を表現したり、または、季節感を現す物など様々です。主な代表的な物として、礼装用の着物柄には、吉祥模様、慶長模様、御所解(ごしょどき)模様、正倉院文様、茶屋辻、辻が花、熨斗目(のしめ)模様などがあり、普段着用の着物(小紋柄)の代表的な柄には、市松模様、立涌、壺垂れ、矢絣、井桁絣、亀甲、唐草、紗綾形(さやがた)など、数多く有ります。また、季節を感じさせる古典柄には、秋草文様などが有ります。これらは現在、すべてが着物用語として、着物業界の共通語として通用しています。
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着物の豆知識.6
| 後染・先染の違いについて |
後染とは、織り上がった白生地に後から染加工して、柄を付けていく事を言います。生地には、縮緬(ちりめん)、紋綸子(もんりんず)、羽二重(はぶたえ)そして、夏用の生地には、絽(ろ)などが用いられ、訪問着、付下げ、振袖、留袖などに染め上げられます。これに対して、先染は、織物を織る前に、原料となる糸を精練し、染色してから織る事を言います。先染の代表的な物としては、紬、上布、御召などがあります。先染の特徴は、生地が丈夫で軽く、実用性に富んでいる所です。その事から、日常用の着物として広く用いられ、後染の訪問着や留袖などが礼装用に用いられるのに対して、先染のそれは、普段着用として今日では区別されています。
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着物の豆知識.5
| 藍染とは? |
藍液の入った瓶に糸や布を浸して、絞り上げ、空気中に晒す事で空気中の酸素によって酸化されて、青色に発色します。この作業を繰り返す事で、藍色の独特な風合いを出していきます。このような仕事によって染め上げられた、染物の事を藍染と呼びます。
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